« 2008年12月 | トップページ | 2009年4月 »

2009/03/02

適性診断 その8

1.ドイツ民主共和国の競技スポーツシステムにおける青少年スポーツの課題と,科学的な選抜の意義

<主報告>

1970年11月,ドイツ体操スポーツ連盟の第2回幹部会で,1972年のオリンピック大会の準備の進捗状況が分析されました.同時に,我が国の競技スポーツの発達テンポをあげるには,どのような手当が必要なのか,ということが論議されました.会議の主要な部分は,1972年以降も世界レベルで戦える競技スポーツの基礎を創出するためには,どのようにして,ジュニアの発達という仕組みを改善し,加速すべきなのか,という問題にさかれました.ドイツ体操スポーツ連盟会長である,ORZECHOWSKIは,次のように指摘しています.”今日すばらしい出発位置にあれば,明日にはかならずよりよいパフォーマンスを得ることができます...世界レベルに対する現在の遅れたレベルは,素早いテンポで克服しなくてはなりません.“
これまで,とくに1970年,重要な国際競技会で優れた成績を収めることができました.トップレベルでと同じように,ジュニア選手の分野でも,すばらしい発展を見せています.国際ジュニア選手権の結果やスパルタキアードの成果をみると明らかです.こうした発展は,多くのコーチ,指導者,トレーナー,方法学者,スポーツ医,スポーツ科学者,組織運営担当者,など、目標をひとつにした協働作業の成果で、とくに,ジュニア選手の発達の基本的方針の正しさが証明されたといえます。それは,ジュニア選手の選抜や促進段階、また、スパルタキアードという点でも,浸透してきているところです.各種目を分析し,各クラブのパフォーマンス発達を比較すると,優れたトップレベルのパフォーマンスが,ジュニア期における、パフォーマンスの基礎構築と結びついていることがわかります.逆にいうと、トップパフォーマンスという点での遅れを示しているような連盟やパフォーマンスセンターでは,ジュニアの発達という点で大きな遅れがあるということでもあります.
1
こうした点を指摘するだけでは十分ではありません.今後の活動にとっては,よい成果や欠点の原因を,指導に関わる要因という面からはっきりとさせる必要があるのです.とくに,タレントの選抜,その促進,トレーニング方法面や教育面の問題が重要な要因で,パフォーマンスレベルや最高パフォーマンス育成のテンポを決定づけるのです.現状は、ジュニアの発達システムにおいて,科学的な成果が実践に流れ込んでいるとしても,そのテンポをよりあげなくてはならない時期にあります.より正確にいえば,実践のテンポをあげ、成果をより確かなものにするために,科学がますます重要になってきているということ、ジュニア発達の科学化ということが重要だということです.指導部の立場からすると,科学的認識を応用できるような条件を創出することが義務となっているのです.
このセミナーは,こうした問題意識から出発しているという意味では、最初のセミナーです.全体の関心は,タレント発掘・認知,振り分け,選抜,促進という多面性をもっていますが,比較的限定された問題圏に対応しています.主要な問題は,将来の世界クラスのパフォーマンスに対して,タレントを持った若い選手を育成・促進するための最も重要な制度としての,青少年スポーツ学校選抜を改善すること、それによって,世界トップレベルのパフォーマンスにまで成功裏に導くことの出来るような候補選手を準備すること,このことをどのようによりよく成功させることができるのか,ということです.
この問題の研究では,解答のカギとなるような点があります.青少年スポーツ学校での活動の成果は,候補者の選抜をより高いレベルに引き上げること,そして、トレーニングによる目的的な準備の仕組みを改善すること、こうした取組にどれくらい成功しているか,に左右されます.したがって,トレーニングセンターは,競技スポーツシステムにおけるジュニア選手の第一準備段階として,ますます重要になってきているのです.
2
それと関連して,トレーニングセンターに対する適性をもった選手の選抜,並びに,トレーニングセンターでの教育と陶冶という面に対しても,青少年スポーツ学校にむけた準備段階という意味をもった二三年のトレーニング過程という点から,要求がより大きなものとなっています.
このテーマの要点はどこにあるのでしょうか?
このセミナーには,経験と認識を、競技スポーツのレベルの引き上げのテンポを加速するという点で応用するための、より普遍的で実現可能な道筋を、理論的認識に対して示すという課題があります.適性研究の科学的問題は非常に複雑で,多様な課題を内包していること、正確にまとめあげられた成果を提出することは不可能である,ということも知っています.この研究は,世界最高のパフォーマンスを狙ったものでなくてはなりませんから,すでに,わたしたちがもっている,発達を加速し,回り道を回避し,間違った結果を少なくするための,基本問題や種目毎の部分成果という点での認識は競技スポーツの政治的目標の達成に対して,非常に価値大きい貢献をするはずだ,ということも重要です.
競技スポーツのためのジュニアの発達は,今日に始まったものではありません.しかし、これまでは科学的な規準値をもたずに進められてきました.わたしたちは,各ステップを実験的,実践的に検証することを迫られてきました.こうした面で,二三の初歩的な成功をおさめています.わたしたちは,多くの問題とその解決の方途を明確にしめしてくれるような認識を獲得することができましたし,そうした経験を集めることができましたが、こうした歩みのなかで,よりよい成果獲得に障害となるような多くの間違いも冒してきました.したがって,このセミナーに,時間を浪費するような回り道を避けることのできるような,科学と研究の,実践に応用でき,普遍性をもった,最初の成果と指針を期待します.言い換えると,このセミナーは,競技スポーツにおけるジュニア発達システムという点での科学の生産力をより有効なものにすることに役立つものでなくてはなりません.

<<競技スポーツに適性をもったジュニア選手の選抜と促進の有効なシステムを構築することの意義はどこにあるのでしょうか?>>

オリンピック大会や重要な国際選手権大会で,世界をリードするスポーツ大国の競技スポーツでの,発達傾向を分析すると,ひとりの競技能力にすぐれたトップ候補選手の発達は,ジュニア領域でのパフォーマンスの準備次第だ,ということが明確になります.
3
あるいは,ジュニアのときに始めるためには,多くの人数の,近代的な認識にもとづいてトレーニングされ,すでに少年期に試合でその能力を実証しているようなパフォーマンス能力にすぐれたジュニア候補選手の発達は,世界クラスのパフォーマンスを達成するための前提の一つなのだ,ということです.さらに,一連の種目では,すでに,少年期に世界クラスのパフォーマンスを達成することもできるという点も重要です.それとともに,ジュニア候補選手から,目標をもった活動をすれば,すばやく,国際的なトップパフォーマンスをあげる選手を発達させることも可能なのです.この認識は,すべてのスポーツ大国に当てはまることです.それは,我が国における競技スポーツのさらなる発展にとって大変な重みをもっています.というのも,わたしたちは,国際的な最高競技スポーツという点での発達テンポとともに歩みを維持しなくてはならないというだけではなくて,一連の種目で,世界最高の成果をあげなくてはならない,というだけの理由からではありません.むしろ,私たち自身が,このテンポをともに決定づけるような役割をしなくてはならない,からなのです.そうすることで,重要な国際試合のときに,成功を手に入れることができるのです.
この課題をわたしたちは,人口が比較的少ない,経済的な資源に乏しいなかで解決しなくてはなりません。競技スポーツの発展要因も比較的貧困なところから出発しなくてはならないのです.ジュニア競技スポーツにおける活動重点は,促進制度に対して適性のある青少年の選別と選抜のできるだけ網の目の細かいネットを,タレントを見落とさないような選抜可能性をもったシステムと結びつけなくてはならないという点です.
我が国では,現在,各年齢段階あたり約30万の子供たちが成長しつつあります.来年はその数が25万になります.この人数の客観的な数字をみると、この問題の解決には、大まかにあるいは表面的に関わることは許されない,ということがわかります.これは,将来の問題というだけではなくて,現実の実践上の問題でもあります.
現在の段階にあっても,ジュニアの発達の問題のほぼすべてを一歩一歩実験的に解決しなくてはならないが故に,どのようなイデオロギー,組織,指導方法,パフォーマンス決定上の要因が,わたしたちの発展にマイナスの影響を及ぼすのか、―― 各州やパフォーマンスセンターの条件は比較的よいけれども ―― 相対的にみて我が国のわずかなリソースであっても,好条件をもった州においては,可能な素早い発展がどのように阻害されているのか,ということがわかっています.
4
たとえば,陸上競技では,昨年の発達を分析すると,トップレベルとジュニアレベルでは,プラスのパフォーマンス発達が確認できます.1970年の連盟中央委員会の第2回大会で,この発達には,すべての州やパフォーマンスセンターが関わっているのではない,ということ確認されています.とくに,ライプチヒの二つのスポーツクラブは,1966年にはジュニア競技スポーツにおいて主導的な位置にあったのですが,4年の間に後退傾向が顕著になりました.これは,青少年スパルタキアードの学齢期,青年,の年齢クラス,それから,友好競技大会やヨーロッパジュニア選手権での成績への,両クラブの関与という点にみられます.
こうした例の背景はなになのでしょうか?我が国のもっとも重要な州の一つで,二つの強力なクラブをもっている州が,6年の間に,もっとも重要なオリンピック種目で,現在まで,将来のトップレベルの競技力に影響を及ぼすところのジュニア競技スポーツで何らの成果も上げていないのです.このマイナスの例は,陸上競技だけにかぎりません.陸上競技のパフォーマンスセンターの約三分の二が非常によい成果という点で,何らの貢献もしていないのです.
もし実践のなかで検証された認識を全体として活用するならば,どれくらいよい出発点に立つことできるか,ということはだれでも予想のできることです.
人口についての確認と関連して,この例は,多くの研究されていない問題があるとはいえ,すでに,現在,ポジティブな成果も可能なのだ,もしよい経験を利用し,徹底させ,独自のイニシアティブを,指導者とトレーナーによる実践の豊富化にむけて案内できれば,可能なのだ,ということを示しているにすぎません.

| | コメント (0)

« 2008年12月 | トップページ | 2009年4月 »