2006/11/23

適性診断 その3

適性診断の科学サポートには解決しなくてはならない問題がたくさんあった.選抜の時点での身体運動面の優劣と,成人になってからの優れた競技パフォーマンスとの相関をどのように捉えるのか,という問題.相関があるといっても,相関させるというトレーニング戦略との「相関」を前提とするわけであるから,ほっといても優秀なものは優秀になるというような性質の相関ではない.トレーニングすることを前提としているということであるから,トレーニングの目標設定とトレーニングの方法を明確なものにしていかなくてはならない.しかし,これは,適性診断の科学サポートチームの本来の仕事ではない.水泳競技や陸上競技などでは,比較的明確な目標値を予測するという仕事が行われた.そこからトレーニング目標が各年齢段階や競技レベルごとに導出され,規準値が示された.この規準値が適性診断の基礎となった.規準値をもとにした,各年齢段階や競技レベルごとの達成度,発達の度合い,発達傾向にもとづいた発達の予測,そしてその達成のための計画という,SEE/PLAN/DO/SEEというら旋状の反復が継続されていく!
我が国では,学校体育でのミニマム達成という考え方が提案されている(健やかな身体 ).ミニマムというからには測定可能な規準値が用意されなくてはならない.規準値となれば,また,はかれる学力とはかれない学力というような無益な論議がでてくるわけである.スポーツの分野での規準値を扱う場合,測定の時点でできるできないが明確になるので,慎重さが求められる.けれども,その場での測定値は単なる一瞬の出来事なのであって,重要な点はその点的な測定値が線となって,どのような発達傾向をもつのか,そして,その発達傾向の構造はどのようなものなのか,そしてその構造の変動性を保証するトレーニング指導や学習指導はどのようなものでなくてはならないのか?生物学的にたいへん大きな構造変動を伴うこの時期だからこそ,規準値の明確な診断(パフォーマンスの構造診断,発達診断,予測診断,適性診断)が必要なのだ,ということである.性成熟などなど性成熟期特有の身体問題は,たんなる身体問題なのではなく,自分の身体が統一していた自己像を大きく揺るがす大変動を経験する時期に起こる複雑な心身問題なのだ,ということを考えながら,そこに大きな成熟の鍵を見いだそうとする気の長ーいサポートが必要だということ,東独の長期育成をささえる彼らの科学サポートの哲学である.

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